院長の仮説
筋肉や関節に何かしらの問題を生じさせたものではなく、日常的に存在していた不安や怒りなどのストレスが「ぎっくり腰を起こす」前からあった。
そのストレスによって偏桃体が興奮し、痛みが加速化、発症と至ったのではないかと。
ポイントは「少し前」にあります。
人間はストレスの真只中の場合、痛みを感じる事は稀です。痛みを感じている場合ではありません。ココロが追い詰められています。
痛みを感じ出すのは決まって「少し落ち着いた時」です。ストレスがひと段落した時「あれ?」と痛みに気付きます。
日常に溶け込んだ不安・怒りによってDLPFCの働きが弱くなっていても、まだこの段階では正常を維持できます。あくまで「何とか維持できる」状態です。
ですが、そこにいつもより強いストレスがやってきたらどうなるか。
既に限界に近かったDLPFCは限界を超えて活動量を増やし、何とか偏桃体の興奮を抑えます。そして、ストレスが過ぎ去り、少し落ち着いた時に「無理をし過ぎた反動」が返ってくるのです。
その結果、キャパオーバーを迎えたDLPFCは偏桃体の興奮を抑えることができません。抑えきれない情動反応が「ぎっくり腰」として表に出て来たのでは?
数日間、安静を保てるならDLPFCの疲労は回復し痛みは治まっていきます。
しかし、ストレスが持続してしまうと「ブレーカーが落ちる」のと同じで突然PLDFCがダウンし、痛みが起こります。
痛みは一度起こると、
ストレスが解除されるまで持続します。
この持続性の痛みに対して不安・恐怖を抱いてしまうと、結果的に痛みに執着をしてしまい、慢性化するリスクが一気に増加するのだと私は考えています。
痛み以外の症状
偏桃体の興奮によって刺激された交感神経は「闘争」or「逃走」の選択的な反応を起こします。
これは完全に「無意識下」での反応になります。
実際問題として、社会生活の中では戦う事も、逃げる事も出来ない事の方が多いですが、カラダは「危険」が回避されるまで反応を継続します。
では、その「闘争」or「逃走」の反応とは一体、どの様なものなのか?
- 目は瞳孔が開き
- 毛は逆立ち
- 呼吸は速く浅く
- 心拍は高く
- 血管は収縮し
- 筋肉へと血液が供給される
全身の緊張が高まり、いつでも瞬発的に動けるスタンバイに入ります。
いわゆる「手に汗握る」状態です。
この緊張状態では食事・排泄の余裕はありませんから、消化管の活動は抑えられていきます。
こんな状態がいつまでも続いたらどうなると思いますか?
- カラダが常に緊張しており睡眠に入れない
- 緊張の糸が張りっぱなしなので心に余裕が無くなる
- 睡眠不足による疲労の蓄積が始まる
- 血圧が常に高くなる
- 胃腸・消化器系の不調が始まる
- 瞳孔が閉じれず、集中力が落ちる
痛みに限らず、この様な「不定愁訴」が身体から噴き出してくる可能性があります。
脳の動かし方を変える
ここまで見てきた様に、慢性腰痛の原因とは「恐怖」や「怒り」です。
長い間、日常的にこういった「不安」「恐怖」「怒り」を抱え込んでいると、神経ネットワークはネガティブパターンに固定化され、脳の血流は極端に低下します。
この様な状態から正常な神経ネットワークを取り戻し、慢性腰痛を改善へと導くには「脳の動かし方」をポジティブへとシフトさせる必要があります。
その為には何が必要なのか。それは「痛み」に対する考え方を変えていくことです。