ここで改めてまとめてみよう
ここまで明らかになったことを簡単にまとめてみます。
- 偏桃体には2つの機能がある
- 1つ目は「痛みの発現・過敏化」
- 2つ目は「不安」「悲しみ」「怒り」などの負の感情を司る
ここから導き出されることは
「カラダの痛み」も「ココロの痛み」も
感じるのは偏桃体
という事です。
更に掘り下げるなら「カラダの痛み=ココロの痛み」という事であり、
最終的な結論としては
「慢性痛は心の病気」
となります。
実際、論文にもこう記されています。
「扁桃体は,ストレス・不安・恐怖、怒りなどの心理状態によって引き起こされるさまざまな身体の応答に関与しています.扁桃体中心核の活動が全身の痛覚過敏をひきおこすことを示した今回の発見は,心理的・社会的な要因が引き金となって身体のさまざまな部位に痛みが 生じるメカニズムを明らかにしたものと考えられます.・・・以下省略」
- 身体の痛みを感じるのは脳
- 脳の認識とはココロ
脳と身体は互いに影響を及ぼしあっている相互関係にありますから、脳が関係しない痛みはありません。
慢性痛とは身体の痛みであると同時に、その痛みを「学習」してしまった脳の認識の病気なのです。
その解決における重要なポイントは2つ。
- 脳の「痛みの認識」を遠ざける事
- 痛みに執着をしない事
となります。
痛みの第一現場と第二現場
「痛み」と「痺れ」には2つの現場があります。
- 第一現場:痛みや痺れが発生している箇所
- 第二現場:脳
この2つの現場間で情報がやり取りされています。
痛みが急性痛であれば「第一現場」への介入だけで改善する事が多いですが、慢性痛の場合はそうはいきません。
第二現場である「脳」の中に痛みに関する情報の記憶(可塑的変化)が起こり、第一現場への介入だけでは痛みがおさまらなくなる事も増えてきます。
この場合、必要になるのは「第二現場」への積極的な介入です。
話を戻しますが、この偏桃体の興奮を抑えてくれるのがDLPFCです。つまり、慢性化した腰痛に苦しむ人に必要な解決策とは「DLPFC」の活動を取り戻す事なのです。