痛みとは何だろう?
そもそもの話ですが「痛み」とは何でしょうか?
「痛み=疼痛」に関する国際的な学会「国際疼痛学会」では2019年に「痛みの定義」を発表しました。
実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する,
あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験(日本疼痛学会訳)
簡単に解説すると以下の通りです。
痛みとはカラダの組織が傷ついたり、傷つきそうな状況によって生じる
「感覚的で感情的な不快感を伴う経験」
こうなります。
この国際学会の定義によって
- 痛みとは感覚的・感情的なもの
- 痛みとは主観的なもの
- 必ずしも損傷を伴うものではない
つまり「組織が傷ついていない状態での痛み」の存在が医学的に認められたのです。
そして、この様な痛みには「脳」が深く関わっています。
心と痛みの関係(偏桃体の2つの働き)
東京慈恵会医科大学が2021年3月18日に発表をした資料があります。
「こころや脳の働きが全身にひろがる痛みを生み出す仕組みを解明」
このレポートの要点を簡単に抜粋します。
- 炎症や障害の無いマウスでの動物実験
- 右脳側の偏桃体中心核のニューロンを興奮させた
- 左右両足に痛覚過敏が生じた
- この変化は人工的な興奮の度に生じた
- 左脳側の扁桃体中心核ニューロンの興奮では生じなかった
この様な実験結果となりました。
このことから「右脳の偏桃体中心核のニューロンが身体の広い範囲の痛みの感度を調整している」と同グループは結論付けました。
この結論は「炎症や損傷だけでなく、ストレスや不安といった情動・感情的な不安定による偏桃体中心核の活動亢進が、カラダの広い範囲に「痛みへの過敏反応」を引き起こす可能性を示しています。
詳しくはhttp://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20210316.pdfをご覧下さい。